複合現実:大規模3D計測におけるレーザートラッカー以来の最も飛躍的な進化

3D寸法解析と品質管理

複合現実:大規模3D計測におけるレーザートラッカー以来の最も飛躍的な進化

 

3D寸法解析と品質管理

複合現実:大規模3D計測におけるレーザートラッカー以来の最も飛躍的な進化

 

レーザートラッカーの出現は、大きい測定範囲に対して高い精度を誇り、航空宇宙、地上交通、エネルギー、船舶などさまざまな製造分野の大規模3D計測においてプロセスの革命的な進歩をもたらしたと言われています。レーザートラッカーの効率的な活用を最適化するための手法には、2人のオペレーターに一緒に作業してもらう、測定対象部品の形状を外部プロジェクターで表示する、スマートフォンやタブレットをリモコンとして使用する、などがあります。

しかし今、これらの手法はその限界に達しています。

幸いなことに、このような限界を超越する技術がすでに存在します。ホログラム表示、追跡システム、カメラ、3Dスキャナー、パワフルなソフトウェアを擁するスマートグラスMicrosoft HoloLens 2は、 InnovMetricPolyWorks|AR™アプリと組み合わせて使用することで、大規模計測のパフォーマンスを飛躍的に向上させます。複合現実を活用することで、大規模計測は進化し続けているのです。

  • ガイド表示が測定対象部品に重ね合わせて表示されるため、オペレーターは常に正しいフィーチャーを測定可能
  • 大型スクリーンや外部プロジェクターは不要
  • オペレーターはハンズフリーで作業可能
  • 検査タスクの変更は1回のジェスチャーで実行可能

小規模計測と大規模計測の違い

 

2メートル未満の対象物では3D計測は簡単です。オペレーターは常に測定対象物に対する自分の位置を把握でき、多くの場合コンピューター画面に表示されるものを認識し、測定対象部品の位置と一致させることができます。オペレーターは、あらかじめ定義されているシーケンスに従って次の測定対象フィーチャーへ移動でき、3D計測ソフトウェアの操作でマウスやキーボードが必要な場合には、素早くコンピューターに戻ることもできます。

測定部品の大きさが5メートルを超えてくると、測定パフォーマンスの問題も大きくなってきます。オペレーターが空間内で自分の位置を把握することや、他のフィーチャーが多数ある中で測定対象を見分けることが困難になる可能性があります。コンピューターの表示内容と物理的な位置を一致させることがますます難しくなります。オペレーターが次の測定対象フィーチャーに届くように数メートル移動しなければならないケースもあり得ます。3D計測ソフトウェアが稼働しているコンピューターまで戻る手間もタスクの所要時間を増加させます。

レーザートラッカーの登場に伴い、ユーザーは大規模計測の手法をスピーディに適応させていますが、このようなタスクでは多くの場合、オペレーターを2人必要とします。つまり、1人が実際に測定を行い、もう1人が計測ソフトウェアを稼働しているコンピューター前で待機して機能を実行、または問題に対応します。その他の適応手法としては、コンピューター画面の内容を大型モニター、映写スクリーン、壁などに出力することでオペレーターが目視確認しやすくするという方法もあります。

このような初期段階の解決策によってワークフローは改善されたものの、完全な解決には至りませんでした。オペレーターが2人必要ということは、測定タスクにかかる人件費が2倍になるということです。また、大型アセンブリ内で移動しながら、固定された画面に常時目を配るのは、簡単なことではありません。

進化する改善策

2つの技術によって大規模3D計測タスクにおけるオペレーターのパフォーマンスの大幅な向上が実現しました。

1つ目は投影技術、つまりレーザー光を使用して3D輪郭を投影するレーザープロジェクターと、画像を投影するエリアベースのプロジェクターです。どちらのプロジェクターも、ガイド形状と測定結果を測定対象部品の表面に重ね合わせて投影できるため、測定シーケンスの遂行と測定結果の分析をスムーズに進められます。

ただし、プロジェクターの使用は困難や制約を伴うこともあります。測定対象部品の座標系でプロジェクターを適切に位置合わせすることは困難です。プロジェクターの投影はプロジェクター自体の視点から見える面にしか届かないため、大型アセンブリに効率的に対応するためには、複数の場所にプロジェクターを移動させ、複数プロジェクターの購入が必要になることもあります。そして、新たな測定タスクにはまた新たな配置のセットアップが必要になります。

大規模な測定タスクを向上させた2つ目の技術はスマートフォンです。専用のアプリを使用すれば、スマートフォンやタブレットを簡単にリモコンに変えることができます。オペレーターは測定ガイドと測定結果をスマートフォンの画面で視覚的に確認できるだけでなく、3次元測定機の近くにいながら、3次元測定機の位置に合わせて画面表示方向を自動調整する3D計測ソフトウェアを使用して、画面上のフィーチャーを測定対象部品上の位置に一致させることができます。コンピューターの遠隔操作も可能なため、ほとんどのケースで大規模な測定を1人のオペレーターで遂行できます。

さらに、リモコンとして使用するスマートフォンからはいつでもコンピューターの画面に表示されている3D情報を見ることが可能です。これはプロジェクターで発生する影になる部分がないためです。

それでもスマートフォンにも制約はあります。多くのスマートフォンは3D空間で自分の方向を感知できるセンサーを備えていません。スマートフォンが3次元測定機の近くにあるとき、画面の表示内容はオペレーターが見る測定対象部品のみを反映したものになります。また、測定中はオペレーターがスマートフォンを持ち歩く必要がありますが、脚立に上る場合などには、安全確保のためオペレーターは両手を使えるようにしておく必要があります。

すべてを超越する複合現実

新しく出現した複合現実は大規模計測を変革する技術です。プロジェクターやリモコンと同様のメリットを制約なしで提供しながら、さらにいくつかのパワフルな機能を提供します。

プロジェクターやスマートフォンを使用する場合と比較して、Microsoft社のスマートグラスHoloLens 2は下記のとおり、数々の優位性を備えています。

 

このようなスマートグラスが、プロジェクションとリモート操作の機能性向上を実現し、3D計測ソフトウェアと連動した複合現実アプリの発展を後押ししています。

安定した形状を測定対象部品に投影することで、オペレーターの位置に関係なく、影になる部分がない状態で測定作業を支援し、スムーズな測定結果の確認を可能にします。オペレーターは自由に動くことができるため、直感的なジェスチャーでユーザーインターフェースを操作することで、複数ピースを次々に素早く測定していくことができます。ハンズフリーで作業できるため、測定をより安全に遂行できます。

複合現実デバイスのセンサーも、プロジェクターやリモコンでは達成できなかった大きなイノベーションを可能にしています。オペレーターの位置と視点が常にわかっているため、レーザートラッカーのレーザー光が失われても簡単にオペレーターに合わせることができます。大幅な移動が必要でオペレーターの位置が変わった場合も同様です。カーソル制御や特定位置での3Dポイントの作成も頭部と眼の動きで簡単に行えるほか、カラーマップへの注釈の記入、不具合の報告、位置合わせのための基準点の定義もスムーズに行えます。

オペレーターは手を使って部品の座標系内の3D形状を操作することもできます。部品に対する複合現実デバイスの位置合わせのために3Dホログラムの位置を調整し、手作業による測定のトレーサビリティの確保のために現実とホログラムを組み合わせた複合現実画像を自動的にキャプチャーすることも可能です。

大規模計測タスクを
飛躍的に向上

複合現実テクノロジーは、測定指示、3Dシーン表示、ホログラムなどのビジュアル表示ツールが強化され、作業効率が向上し、測定結果を直感的に確認できようになりました。  視覚的なガイダンスと測定フィードバックが表示され、毎回正確に測定できるため、品質が向上します  。